北海道の冬の運転は大変?雪道運転のコツと注意点を道民が解説します
北海道で生活するうえで大変なことは何だと思いますか?
雪がたくさん降るから雪かきが大変そう
やっぱりあの寒さの中で生活すること自体が大変なのでは?
どれも正解ですが、冬の雪道運転も大変なんです!
北海道の冬は大変なことがいろいろありますが、その中でも冬の車の運転は最も注意が必要で神経を使います。
そこでこの記事では、毎年北海道の雪道を運転している筆者が、雪道運転のコツと注意点を解説していきます。
北海道ではどんな車に乗ればいいの?
雪道は運転したことないからコワいな
こんな疑問や悩みをお持ちの人のために、北海道でおすすめの車や滑りやすい雪道のポイントなどもあわせて紹介していきます。
これから北海道に移住する予定という人や、仕事や観光で冬の北海道を訪れる予定があるという人は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
北海道の生活に車は必要? 北海道で車が必要なワケと車を持たずに生活する方法を紹介
北海道の雪道運転のコツ
北海道の冬の車の運転は、雪が無い季節の運転に比べると注意するべき点が多く、北海道民でも苦手という人はたくさんいます。
苦手と言いつつも車に乗らないと生活ができないので、その中で意識して運転していることや注意点などを紹介していきます。
スピードを出しすぎない
冬の雪道の運転ではスピードを出さないことが大前提です。
北海道の雪道はもれなくツルツルなので、スタッドレスタイヤを装着していてもスピードを出しすぎると信号で止まれなかったり右左折時にスリップしやすくなります。
雪道は道路自体がとても滑りやすいため、氷雪路での「制動距離」は乾燥路に比べて長くなります。
そのため、スピードを出しすぎていると止まる際に相当な距離が必要になり、追突やスリップ事故の原因にもなります。
スピードを出しすぎず慎重に運転することによって雪道での事故の可能性を減らすことができます。
車間距離を多めにとる
北海道の雪道では車間距離を多めにとることも重要です。
前述したように北海道の雪道はツルツルなので、夏場よりもかなり多めに車間距離をとる必要があります。
日本自動車タイヤ協会によると、乾燥路に比べて氷雪路の滑りやすさは圧雪路が3.2倍、凍結路が5.4倍、ツルツル路の凍結路面が8.0倍となっており、大変滑りやすいことがわかります。
そのため、氷雪路でのブレーキをかけてから車が停止するまでの距離「制動距離」は乾燥路よりも長くなるため、車間距離を多めにとって信号や一時停止で止まれるようにしなければなりません。
また、前を走っている車が停止したり右左折した時に車間距離をとっていないと、急ブレーキを踏んでスリップしてしまう可能性や、ブレーキを踏んでも停止できずに追突してしまう危険性があります。
スタッドレスタイヤを装着することによって氷雪路でも滑りにくく止まりやすくなりますが、絶対に滑らないというわけではなくツルツルの氷盤路では滑りやすくなるので慎重な運転が必要とされます。 また、スタッドレスタイヤが消耗し溝が減ると滑りやすくなるので、タイヤ交換時には必ずチェックしましょう。
「急」が付く操作はしない
雪道の運転の際に心掛けてほしいのは、「急発進」「急ハンドル」「急ブレーキ」といった「急」が付く操作をしないということです。
この「急」がつく操作はスリップの原因となります。
氷雪路での運転の基本は、ゆっくりアクセルを踏み発進し、右左折時にはスピードを落としてゆっくりハンドルを切り、車を停止する際は早めにブレーキを柔らかく踏みます。
氷雪路では基本的に「ゆっくり操作」をすることでスリップしづらくなり、もしスリップしてしまったとしても最小限の範囲に抑えることができるので、「ゆっくり操作」はとても大事です。
氷雪路ではブレーキ操作がとても重要ですが、信号などでは小刻みに軽くブレーキを踏む「ポンピングブレーキ」で、後続車に注意を促すことも大切です。早めのブレーキによって後続車に止まることを知らせることは追突の危険性を減らすことにも繋がります。雪道に慣れてきたら後続車への配慮も意識してみるといいでしょう。
無理をせず気持ちと時間にゆとりを持つ
冬の運転で最も大事なのは気持ちと時間にゆとりを持つことだと筆者は考えています。
冬になり雪が積もってくると、とにかく時間がなくなります。
朝は玄関先や車に積もった雪を除雪し、車を暖めてから出勤。さらに雪道はスピードを落として走行する必要があるため、ただ出勤するだけでも雪が無い季節と比較するとかなりの時間がかかってしまいます。
夏の感覚で家を出て除雪などによってギリギリの時間になり気持ちが焦ってしまうと、雪道でスピードを出してしまったり急発進・急ブレーキを誘発してしまう可能性があります。
そのため、ゆとりのある運転のために、朝は早めに起きて余裕を持って行動することが大事だと言えます。
また、運転では無理をしないことも大切です。
無理な追い越しはもってのほか、信号は横断歩道の信号機を見ながらかなり手前からエンジンブレーキかけて無理せず止まれるようにし、車線変更もできるだけ避けた方がスリップや轍(わだち)にはまる危険性を減らせます。
北海道の雪道の注意点
冬の北海道では雪が圧し固まった圧雪路だけではなく、アイスバーンなどもあり、状況によって路面は変化します。
さらに道産子目線で日常生活の中で特に滑りやすい場面も解説していきます。
ツルツル路面の種類
北海道のツルツル路面には実は数種類パターンがあります。
- 厳冬期の圧雪された雪が凍るツルツル路面(圧雪アイスバーン)
- 除雪車が通った後のツルツル路面
- 雪が融けかかった後に再び凍ったツルツル路面(アイスバーン)
- ブラックアイスバーン
厳冬期の雪が積もって圧雪されたツルツル路面(圧雪アイスバーン)は、一般的に想像される北海道の雪道のイメージだと思いますが、一見滑らなそうに見えても注意が必要で、特に国や交差点などの交通量が多い道路はツルツル度が高いです。
除雪車が通った後のツルツル路面は、主に住宅街などで出現する場合が多く、雪道が除雪車のバケットに削られるためツルツルになります。
除雪車自身のタイヤで踏まれることによってツルツル部分はあまり残りませんが、まれに残っていることがあるので、除雪車が通ったあとの雪道は注意が必要です。
そして道産子の筆者が考えるツルツル路面第1位は、雪が融けかかった後に再び凍ったツルツル路面(アイスバーン)です。
降雨や気温が高くなる昼間に道路の雪が少し融けた後、夜間に再び凍結する氷盤路(アイスバーン)が発生するのは、初冬や雪が融け始める冬の終わりから春先にかけてが多く、雪ではなく氷なので普通に滑ります。
同様にブラックアイスバーンも凍った路面ということでツルツル度合は高いですが、アイスバーンとの違いは雪が無く一見濡れたアスファルトに見えることです。
ブラックアイスバーンも初冬や冬の終わりに発生することが多く、冷え込んだ朝や夜間は特に注意が必要です。
特に注意が必要なツルツルポイント
北海道の雪道は常に慎重に運転するべきですが、筆者が車を運転していて特に滑りやすかったり実際に滑ったことがあるポイントを紹介していきます。
- 信号で止まって発進する時
- 踏切
- 店舗などの出入り口
赤信号で一旦停止し青信号になって発進する際は、路面状況によってはかなり慎重にアクセルを踏まないと滑るというかタイヤが空転した状態になって前に進めないことがあります。
路面がアイスバーンの場合はどんなにゆっくりアクセルを踏んでも滑ってしまう時もありますが、雪道では当然の事なので焦らずに慎重に進むといいでしょう。
踏切も意外と滑るポイントです。
すべての車が踏切手前で一時停止するため、その部分の雪が摩擦や車の熱でよって融けて再凍結してアイスバーンになると思われ、交差点同様に滑ってしまうことがあります。
踏切や交差点などの交通量が多いポイントはアイスバーンになると滑り止めの砂が撒かれますが、滑る前提で考えておくといざ滑った時に焦らずに済みます。
店舗などの出入り口で歩道を乗り越えて出入りする箇所も結構滑ります。
歩道と道路の段差でちょっとした坂になることが要因かと思われますが、特にアイスバーンの状態で道路に出る際は滑りやすいので注意が必要です。
この他にも、トンネルの出入り口や橋の上はツルツル路面になる場合が多いと言われているので注意しましょう。
冬は日常的に見通しが悪い
単純に雪がちょっと降るだけでも車を運転する時見通しが悪くなるのですが、吹雪くとかなり視界が悪くなり信号が近づいてやっと見えるという時もよくあります。
雪が多く降っている時や吹雪の時はライトを点けてゆっくり走らないと、前方に突然車が現れたり信号に気付くのが遅れたりするので大変危険です。
吹雪以外にも、除雪された雪が歩道に積み上げられた雪山があるポイントも注意が必要です。
信号機のない交差点ではこの雪山のせいで左右の確認がとてもしづらく、かなり前方まで車を出さないと左右が見えないので大変です。
筆者は雪道でこのポイントが1番苦手で、冬はできるだけ信号機のある交差点を通るようにしています。
北海道では冬になると何度か爆弾低気圧による猛吹雪が発生します。猛吹雪の日は天気予報でも無理な外出を控えるように呼び掛けられ、事故も多くなる傾向です。仕事などでどうしても運転をするという場合は、立ち往生した時のために「毛布などの防寒グッズ」「シャベル」「非常食」などを車に積んでおきましょう。
もしもスリップしてしまったら
どんなに気を付けて運転していても、ブラックアイスバーンなど凍結しているか判断がしづらい路面では誰でもスリップしてしまう可能性があります。
もしもスリップしてしまったら、まずは慌てないことが大事です。
そしてハンドルを切らずに、アクセルも一旦踏み込まむのをやめて、車がある程度止まるまで様子を見ましょう。
車の後方部分が左右に流れてしまった場合は、後方部分が流れた方向にハンドルを切ります。
そして車の体勢が直ったらハンドルを元に戻します。
いずれも焦ってブレーキを踏み込んだり、ハンドルを大きく切ったり、アクセルを踏み込んでしまうと余計スリップしてしまうので、まずは慌てずに冷静に対処することが大事です。
北海道の雪道運転に慣れるためには?
北海道の冬は天候や気温によって路面状況が変化します。
そのため、様々な路面状況に対応できるように慣れるには時間がかかるでしょう。
しかし筆者は車に乗るようになってまだ5年程ですが、雪道の運転では必要以上に慣れない方が良いと考えています。
雪道に限った話ではありませんが、ある程度緊張感を持って運転することが大事だと思っています。
- スピードを出さない
- 車間距離を多めにとる
- 「急」な操作をしない
これらを守って運転していれば自分が事故を起こす可能性は減らせますし、少しずつ慣れてくると思います。
北海道ではどんな車に乗るべきか
冬は厳しい寒さで雪が積もる北海道ではどんな車に乗るといいのでしょうか。
筆者が車選びで重要視したポイントなどもあわせて紹介します。
北海道では寒冷地仕様車が常識
寒冷地仕様車とは、北海道などの厳冬地域の環境に対応した装備を搭載した車のことで、標準車をグレードアップ仕様にしたものが寒冷地仕様車になります。
一般的な標準車との違いは、-20℃以下になるような寒冷地でも快適に車を使えるように、様々なオプションが付いている点です。
メーカーや車種によって違いはありますが、以下のものが寒冷地仕様車のオプションの代表的なものです。
- バッテリーの容量が大きい
- オルタネーターの容量が大きい
- ワイパーモーターの強化
- 暖房の強化
車のバッテリーは低温下では機能が低下するため、寒冷地仕様車はバッテリーの容量が標準車よりも大きいものになっています。
バッテリーの容量が大きいことに伴って、バッテリーを充電する役割があるオルタネーターの容量も大きくなります。
ワイパーモーターが強化されている理由は、雪がフロントガラスに積もった時に問題なく動作させるためです。
ワイパー自体も冬用の製品があり、ブレード部分が厚みのあるゴムでできたものになっているので、雪を効率よく除けることができます。
暖房の強化は寒冷地仕様車のオプションで最も充実している部分で、フロントガラスに積もった雪を融かすヒーターや、シートヒーター、ミラーヒーターなどがあり、最近ではハンドルを暖めるステアリングヒーターもあります。
北海道内でも比較的温暖な地域では標準車の使用も可能ですが、厳冬期に-20℃を下回ることがある内陸部などの地域では寒冷地仕様車に乗るのが一般的です。
滑りやすい路面での急ブレーキの際にタイヤがロックされるのを防ぐ「アンチロックブレーキシステム(ABS)」や、カーブを曲がる時に外に膨らむのを抑える「横滑り防止装置(ESC)」など、雪道走行時の運転をサポートする装置が付いているかもしっかりチェックするといいでしょう。また、雪が多い地域ではフロントカメラがあると、見通しの悪い交差点でのストレスも軽減できます。
4WD(4輪駆動車)が安心
北海道で車に乗るなら4WDの車が安心です。
4WDとは、英語の「4 Wheel Drive」の頭文字をとった略語で、簡単に言うとタイヤ4輪全てをエンジンで動かしている仕組みの車のことを指します。
前輪または後輪の2輪をエンジンで動かす仕組みの2WDと比べると、4WDは車体のバランスが良く、雪道などの滑りやすい路面やオフロードなどの悪路でスリップしにくいため、北海道では4WDの車に乗っている人が圧倒的に多いです。
4WDのデメリットとしては、寒冷地仕様にグレードアップすることと同様に価格が高くなる点です。
2WDに乗っている道民ももちろんいますが、やはり凍結した坂道は登れないこともあるそうなので、坂道での発進性にも優れた4WDに乗ることをおすすめします。
4WDには5つほど種類があり、常時四輪駆動で走る「フルタイム4WD」や、運転手が四輪駆動と二輪駆動を切り替えて走行する「パートタイム4WD」、通常は二輪駆動で走行しタイヤが空転した時だけ四輪駆動に自動でシフトする「スタンバイ式」など、車種によって違いがあります。
北海道でおすすめの車種は?
筆者は数年前に車を購入しましたが、その際に車選びで重要視したポイントが車高の高さです。
北海道の道路はいつでも除雪されているわけではなく、住宅街やあまり車が通らない道路は除雪が遅れたり、そもそも除雪されない区間もあります。
そんな時は轍(わだち)ができて、車高が低い車だとハマってしまう可能性があます。
北海道では車高が高く、SUVなど悪路での走破性に優れた車がおすすめです。
軽自動車ならスズキ「ジムニー」、SUVでは三菱「アウトランダー」やスバル「フォレスター」、ミニバンでは三菱「デリカD:5」などが雪道に強い車種と言われています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
北海道の雪道の運転はとても大変で危険が多そうに思われるかもしれませんが、ほとんどの人がスピードを落とし慎重に運転しているので、意外と死亡事故は夏場よりも少ない傾向にあります。
↓参考記事はこちら↓
雪道だけじゃない! 夏こそ気をつけてほしい北海道夏のドライブの注意点
[ブログカード url=”https://crabcrab.net/summer-drive-importantpoint/”]
しかし、吹雪やアイスバーンなど危険を伴うことももちろんあるので、とにかくスピードを出しすぎずに無理をせず、心にゆとりをもって慎重に運転することが大事です。
雪道運転に不安があるという人は、自動車教習所などで雪道講習も行われているので検討してみてはいかがでしょうか。
この記事が北海道をはじめとした雪が降る地方での雪道運転の参考になれば幸いです。