北海道ではどんな暖房設備が使われている?それぞれのメリット・デメリットとは?
冬は雪が多く積もり、厳しい寒さが訪れる北海道。
そんな北海道では、厳しい寒さを乗り切るために、様々な暖房設備が使われています。
本州でも使われているものから、北海道などの寒い地域でしか使われていないものまで、その種類は意外と多いんです。
そこでこの記事では、北海道在住の筆者が、北海道で使われている暖房設備の種類と、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
北海道ではどんな暖房設備が人気があるの?
北海道で新築予定だけど暖房設備のメリット・デメリットを知りたい!
こんな疑問をお持ちの方の参考になる記事になっていますので、ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。
暖房設備の燃料は?
まず初めに、北海道で暖房設備を使うための燃料はどんなものが使われているのか紹介します。
- 灯油
- ガス
- 電気
北海道では、主に灯油、ガス、電気の3つが暖房の燃料として使われています。
本州の温暖な地域では、ほとんどの場合、電気で暖房を使うことが多いと思いますが、北海道では、ほとんどの家庭で灯油とガスが燃料として使われています。
北海道では昔からFF式石油ストーブを使用している家庭が多かったため、暖房の燃料はほとんどの場合灯油が使われていました。しかし、近年は寒冷地エアコンやオール電化など暖房設備の多様化に加え、灯油価格の高騰などから、ガスや電気の割合が増えてきているようです。
北海道で使われている暖房設備
では、北海道ではどんな暖房設備が使われているのでしょうか?
北海道と言えば薪ストーブのイメージがあるかもしれませんが、実際に薪ストーブを使っている家庭はごく少数です。
- FF式石油ストーブ
- セントラルヒーティング
- エアコン
この3つが北海道では一般的な暖房設備として多くの家庭で使われています。
ここからは、FF式石油ストーブ、セントラルヒーティング、エアコンのメリットとデメリット、そして使い心地を解説していきます。
FF式石油ストーブ
- 部屋の中を一気に暖める高い暖房能力
- 視覚的にも温かみを感じることができる
- 温度調節が簡単
北海道の暖房といえばコレというほど、道産子にはお馴染みの暖房機器・FF式石油ストーブ。
FF式石油ストーブの「FF」とは、「Forced Draught Balanced Flue」日本語では「強制吸排気」という意味があり、燃焼用の空気を室外から取り入れ、室外への排気も強制的に行う暖房設備です。
壁に穴を開けて給排気口を作り換気を行うため、窓を開けて換気をする必要が無いので、部屋の中を一定の温度に保つことができます。
さらに、部屋の中を一気に暖める高い暖房能力と、燃焼の様子は視覚的にも温かみを感じさせ、北海道では昔から根強い人気を誇る暖房機器です。
また、FF式石油ストーブには、輻射タイプ、輻射に床暖房が付いたタイプ、温風タイプがあり、好みのタイプを選べるのも魅力です。
- ストーブの移動ができない
- ストーブ自体が高温になるため、幼児やペットがいる家庭は注意が必要
- 灯油の場合は灯油タンクに定期的な給油をし、タンク周りの除雪をしなければならない
FF式石油ストーブのデメリットのひとつは、壁に給排気口の穴を開けるため、一度設置すると移動ができない点です。
また、ストーブ自体が燃焼により高温になるため、小さい子どもやペットがいる家庭では、ストーブに近づかないように対策をする必要があります。
近年ではストーブの天板が熱くならないタイプもあるので、子どもやお年寄りがいる家庭におすすめです。
FF式石油ストーブを灯油で使用する場合、北海道では屋外に灯油タンクを設置し、そこからストーブに直接給油される仕組みになっています。
そのため、定期的に灯油タンクに灯油を配達してもらう必要があり、灯油の残量をこまめに見ておかなければなりません。
また、灯油を配達してもらうために、灯油タンクはもちろんタンク周辺を定期的に除雪する必要もあります。
セントラルヒーティング
- 家全体を暖める
- 火傷や火事の心配がない
- 空気が乾燥しずらい
セントラルヒーティングとは、灯油ボイラーまたはガスボイラーで暖めた熱を、循環パイプによって各部屋に巡らせ、家全体を暖める暖房システムのことです。
本州ではほとんど見かけることのない暖房設備ですが、北海道では多く普及しており、北海道の新築住宅の多くはこのセントラルヒーティングが採用されています。
局所暖房の石油ストーブに対して、全館暖房のセントラルヒーティングは家全体を暖めることができるため、部屋ごとの温度差が生じにくいことが特徴です。
そのため、温度の変化によって起きるヒートショックの防止に繋がり、特にお年寄りのいる家庭では安心して使うことができます。
また、パネルヒーター自体は火傷をするほど高温にはならず、燃焼を伴わないため火事の心配がないのもメリットです。
さらに、温風も発生しないため、空気が乾燥しにくい点もメリットでしょう。
セントラルヒーティングには、輻射熱で家全体を暖めるパネルヒーターの他に、床暖房や温風式もあり、燃料は主に灯油かガスが利用されています。
- 設置費用が高額になる
- 設置場所の検討が必要
- 暖まるのに時間がかかる
セントラルヒーティングのデメリットとしては、設置費用が高額になるという点が挙げられます。
セントラルヒーティングは全館暖房のため、各部屋にパネルヒーターを設置し床下に循環パイプを通す必要があるため、それなりの設置費用がかかってしまいます。
そのため、既存の住宅に新たに設置するというよりも、新築時に設置するという場合がほとんどです。
また、パネルヒーターの場合は各部屋に設置場所を確保する必要があり、家具の配置などを含めて検討しなければなりません。
パネルヒーターを設置する場合、冷気が入ってくる窓の下やその近くへの設置が暖房効率が良いとされているので、窓周辺には家具を置けないことがあります。
セントラルヒーティングはボイラーで暖めた不凍液を循環パイプで各部屋に送り、輻射熱で家全体をじんわり暖めるという仕組みのため、エアコンなどの局所暖房に比べると暖まるまで時間がかかります。
そのため、厳冬期前から暖房をつけておき、冬の間はつけっぱなしにすることで家全体の暖かさをキープすることができます。
輻射熱の誰もが知っている代表的な例は太陽です。太陽の熱は電磁波として地球に届き、地表に電磁波が伝わることで発生する熱を輻射熱といいます。輻射式暖房に置き換えると、太陽が暖房機器で地表が壁や床、家具ということになります。
さらに、セントラルヒーティンは家全体を暖めてくれますが、じんわり暖める輻射熱なので、暑すぎるほど暖かいという場所が無く、寒がりの人には物足りなく感じるかもしれません。
エアコン
- インテリアの邪魔をしない
- 火事や火傷の心配がない
- 部屋の中を素早く暖める
一昔前までは、夏でもエアコンを使う家庭は少数派だった北海道ですが、近年は北海道でもエアコンがないと厳しい暑さが増えたため、エアコンを設置している家庭が増えています。
さらに最近では、性能が高い寒冷地仕様のエアコンの普及にともない、冬にエアコンを使う家庭も少なくありません。
北海道でエアコンは必要?暖房にも使える寒冷地仕様がおすすめです
北海道で厳冬期にエアコンを使う場合、暖房効率や室外機の凍結問題の点から寒冷地仕様エアコンでなければなりませんが、秋口や春先の肌寒い時季には寒冷地仕様ではないエアコンも活躍します。
エアコンは壁の上部に取り付けるので、小さな子どもやお年寄りがいる家庭でも安心して使用することができ、火事や火傷の心配がないのが特徴です。
- 電気代がかかる
- 部屋が乾燥しやすい
- 室外機周りの除雪
冬に北海道でエアコンを使用する際の最大のデメリットは、やはり電気代です。
エアコンは外気温との差があればあるほど運転にパワーが必要となり電力を消費するので、厳冬期は注意が必要です。
また、エアコンは温風で部屋を暖めるため、部屋の中が乾燥しがちです。
そのため、加湿器との併用や、乾燥しにくいタイプのエアコンを選ぶなどの対策をするといいでしょう。
北海道ならではのデメリットとしては、室外機の管理が意外と面倒という点です。
まず、雪に埋もれないように高い架台に室外機を乗せる必要があり、雪の侵入を防ぐために防雪フードも付けなければなりません。
さらに、熱交換と霜取り運転の排水のために室外機の周りも除雪が必要になるので、雪が多い地域では頻繁に除雪することになります。
暖房設備の実際の使い心地は?
筆者はこれまでに、FF式石油ストーブとセントラルヒーティングの使用経験があり、春や秋の肌寒い時季にはエアコンも使用しています。
ここからは、FF式石油ストーブとセントラルヒーティング、エアコンの実際の使用感をお伝えしていきます。
FF式石油ストーブ
筆者がFF式石油ストーブを使っていたのは、戸建て住宅とアパートです。
戸建てのほうはリビングに階段がある2階建て住宅だったんですが、ストーブを点けると暖かい空気は上に行くため、2階は居室のドアを開けておけば十分暖かくなりました。
しかし、暖気が上に行ってしまうため、1階のリビングから離れた部屋は
暖かくなりずらく、ポータブルの暖房も併用していました。
寒い時はストーブの近くに行けば確実に暖まることができますが、子どもが乳幼児の頃はストーブ用の柵を設置して近づきすぎないように気を配りました。
柵を設置していても、ストーブを点火した直後は柵の外でも高温になるので、小さい子どもがいる家庭は気をつけなければなりません。
また、外出時にはストーブを消すため、帰宅時に部屋が暖まるまで我慢しなければならないのがストレスでした。
ちなみに、温風タイプも使っていたことがありますが、セーブ運転などにすると運転が止まった時に寒く感じるという欠点がありますが、小さな子どもがいる家庭は温風タイプの方が安心できると思います。
セントラルヒーティング
現在の筆者の家の暖房はセントラルヒーティングで、パネルヒーターを採用しています。
これは家を建てた際に、セントラルヒーティングのパネルヒーターが標準仕様だったためですが、北海道で家を建てる場合、近年ではセントラルヒーティングが主流になっているようです。
セントラルヒーティングは家全体が暖かく、脱衣所やトイレにもパネルヒーターがついているので、家の中で寒いと感じることはあまりありません。
しかし、家具の配置を優先して窓から離れた位置にパネルヒーターを設置した部屋は、窓の下などに設置した部屋と比べると寒く感じますし、唯一パネルヒーターを設置していないファミリークローゼットは普通に寒いのです。
また、セントラルヒーティングは意外と温度調整が難しく、暖かいと感じるほど温度を上げてしまうと燃料費が大変なことになるので、寒くないと感じるギリギリのラインで温度を設定します。
エアコン
筆者の家では真冬にエアコンは使いませんが、春や秋の朝寒い時などにエアコンを使っています。
本格的に暖房を使うほど寒くなく、朝起きた時に寒いと感じる微妙な季節にはエアコンが重宝します。
筆者の家のエアコンは寒冷地仕様ではないので、冬はエアコンは使わずにセントラルヒーティングに切り替えますが、寒冷地仕様のエアコンであれば冬も使うことができます。
気になる暖房費は?
暖房設備を検討する時、最も気にするポイントは暖房費がどれくらいかかるかということではないでしょうか?
FF式石油ストーブ、セントラルヒーティング、エアコンと使用経験がありますが、正直どの暖房設備も燃料費に大差は無いように思います。
そもそも、家の大きさや間取り、家族構成の変化、電気・ガス・灯油料金の高騰などもあり、正確な比較ができないのです。
しいて言うなら、厳冬期に暖房でエアコンを使用すると、外気温との差が夏よりも大幅に大きくなるうえに、暖房のほうが電力を消費すると言われているのでエアコンの電気代がかなりかかりそうですが、高気密・高断熱の家ならば電気代を安く抑えることができるかもしれません。
まとめ
いかがだったでしょうか?
北海道にはいろいろな暖房設備があり、使い心地や暖まり方もさまざまです。
そして、どんな暖房設備でも、北海道の冬は燃料費がものすごくかかるということを忘れてはいけません。
日本で最も寒く暖房費がかかる北海道だからこそ、家族構成や生活スタイル、家の大きさにに合った暖房設備を導入するということは、厳しい冬の生活を暖かく過ごすためにとても重要です。
この記事が少しでもあなたの役に立てば幸いです。